井の頭線のことを通は「いのあたません」と呼んでいる、かもしれない


 目の前に立ってるピスタチオ禿が邪魔でトイメンの柄ストミニスカの素敵女子が見えねんだよ。しょうがねえからピスタチオの殻を剥いて中身を取り出そうとするのだけど、禿のカミさんが足にすがりつき、泣いて許しを乞うので途中で止める。殻の半分空いた透き間から垣間見えたあの紫色のぶよぶよしたものはなんだったんだろう。考えてる内に件の素敵女子はメールを打ちながら電車を降りようとする。「♪シンデレラじゃあるまいし 時計なんて見ないで 見ないで」。鼻歌を歌いながら素敵女子をホームと電車の隙間に蹴り落としてやった。