えー、皆様のおかげをもちまして、このたび「日本フリル大賞」を受賞する運びとなりましたこと、厚く御礼申し上げます。また余談ではありますが、先日の「モンドセレクション金賞」とのW受賞ということで、私の胸は今感動に打ち震えております。(会場拍手)
 思えば半世紀前にフリルと出逢って以来、綿・シルク・シフォン、果てはベルベットや新聞紙・段ボールなどの素材と日夜格闘して参りました。去年度は「フリルの銀牛賞」ということで、人知れず悔し涙を流したわたくしですが、今回の大賞、すなわち「フリルの金獅子賞」受賞に至りましたのも、フリルそのものにこだわり続け、また長年たゆまぬお洒落を積み重ねてきた結果の賜物、と、かように自画自賛する次第でございます。(会場半笑い)
 近年では、既存の素材だけでなく、新感覚のもの、たとえば「ポリグルタミン酸」のフリルに注目しております。「ポリグルタミン酸」とは皆様もご存じのように、納豆の糸であります。皆様も、朝食の時などに日の光を浴びて輝く納豆の糸を一度はご覧になったことがあるかと思いますが、わたくしはこの輝きを紡ぎ上げ、そして立派なフリルとしてみたいのです。ただ、これにはいくつか難点がございまして、まず、「臭い」。それから「ねばねばする」、というところにあります。まあこの2つの問題点を解決するくらいなら、いっそのこと納豆の糸など使わなければいいのに・・・と考える向きもございますでしょうが(笑) (会場失笑)
 いずれにしましても、わたくしはフリルの無限性と可能性を信じ、これからもこの道一筋で精進して参りたいと思っております。皆様におかれましても今後のご指導ご鞭撻、変わらず暖かい声援、そして潤沢な資金提供など、喜んで頂戴したく存じます。本日は誠にありがとうございました。(会場まばらな拍手)