ホット(以下「ホ」)「おー、来たかぁ。まあ座れ座れ。なに飲む?とりあえずビールでええか?『とりビー』か?」
ペッパーズ(以下「ペ」)「あ、いや、俺車やから酒いいっすわ。(店員に)ウーロン茶ひとつ。大盛で。(向き直って)・・・で、今日はなんなんすか?」
ホ「いやいや、おまえとこうやって飲むのもめったにあれへんなあ思てな、まあたまにはこう、なんちゅうかな、わしらもアルバムが全世界で大売れしたしやな、まあここでやな、うん、方向性ちゅうかな、俺らのな、まあがんばっていこうやないかと、まあそういうことやがな」
ペ「・・・結局なにが言いたいかようわかれへんけど。つかもうべろべろですやん。まだ7時でっせ?」
ホ「・・・で、まあキミどないや」
ペ「なにがですのん」
ホ「いやいや、今日はせっかくやから腹割ろうやないか。最近どないやねん?ちゅうとんねん」
ペ「せやからなにがですのん?」
ホ「・・・キミ日本ゆう国知ってるか?」
ペ「いきなりっすねえ。そりゃ知ってますよ。あの東の方のちっちゃい国でしょ?すんごい遠いトコにある」
ホ「そうそう。なんや知らんけどな、あっこでもわしらのアルバムバカ売れしたらしいで?歌詞英語やから意味もわからずに。なんや『売れてるらしいでぇ?』ゆう雰囲気だけでどえらい売れたらしいで?えらいこっちゃなあ。世も末やがな」
ペ「別にどないな売れ方してもよろしいですやん。売れたらそれだけわしらあったかいおまんま頂けるんやさかいに」
ホ「・・・いや、売れんのはええねん。別にかめへんねん。それはそれでうれしいことやがな」
ペ「ほななんですのん?なにが言いたいんすか?」
ホ「キミ、あの島国でわしらなんて呼ばれてるか知ってるか?」
ペ「いや、知りまへんけど」
ホ「・・・わしら『レッチリ』呼ばれてんねんて・・・」
ペ「『レッチリ』?・・・それがどないしたんすか?」
ホ「『どないしたんすか?』ておまえ・・・よう考えてみんかい。わしらレッドさんとチリさんとおまえとわし4人でレッド・ホット・チリ・ペッパーズやないんかい!?」
ペ「いや、そりゃまあそうっすけど・・・」
ホ「わしら4人で『これからもがんばっていこかぁ』ゆうてバンド組んだんちゃうんかい!?」
ペ「まあまあまあ、そりゃそうっすけど」
ホ「それをやな、あの東洋のな、メガネかけてカメラぶらさげた黄色い猿どもはな、言うにことかいて『レッチリ』言いよんねん。わしらどこや?わしらどこにおんねん?ホットとペッパーズはどこや?あいつらにはわしらの姿見えてへんのかい?っちゅう話やがな!」
ペ「まあまあニイさんそんな興奮せんと。酎ハイこぼれてまっせ」
ホ「それを考えるともうわしゃ悔しいて悔しいて・・・」
ペ「いやでもニイさん、よう考えてもみなはれ。チリさんわしらの1期上ですやん?レッドさんにいたってはわしら養成所入る前からテレビ出てるようなひとですやん?そりゃ先輩方立てんとしゃあないんちゃいますかねえ」
ホ「いやでもおまえわしかて、わしかて・・・」
ペ「まあニイさんの気持ちもわからんでもないですよ?でもほら、ひとにはニンっちゅうもんがありますやんか?キャラ立ってるもんを前へ出してくのはこの世界のお約束ですやん?」
ホ「でもわしらこのままやったら・・・」
ペ「やったら?」
ホ「ロバートの山本やん?」
ペ「・・・」
ホ「Base Ball Bearのギターとドラムやん?」
ペ「・・・」
ホ「スピッツでゆうたらマサムネとそれ以外やん?」
ペ「ようもこんだけキャラ立ってないメンツ集めたなこれ」
ホ「ZARDのベースやん?」
ペ「それバンド名違ごて坂井泉水ひとりでZARDですやん」
ホ「街歩いても顔サされへんやん?」
ペ「いや、それ言い過ぎ・・・でもないけども」
ホ「わしはな、わしは、これからもな、4人揃ってな、そんで胸張って「レッド・ホット・チリ・ペッパーズでぇ〜す!』言いたいだけやねん。それをあの黄色い猿どもが、黄色い猿どもが・・・」
ペ「・・・まあまあ、ニイさん飲みなはれ。今日は胸の内すっきりさせましょうや・・・(店員に向かって)お〜い、酎ハイおかわり!」




 一方その頃彼らの所属事務所の会議室では




担当マネージャー「・・・おまえらそろそろホットとペッパーズ抜きで冠番組やらへんか?」
レッド・チリ「・・・わかりました。あいつらには俺らから言うときますわ」




 ホットとペッパーズは、レッド・ホット・チリ・ペッパーズ解散後無料情報誌の編集プロダクションに転職したというが、それはまた別のお話。